はじめに

医療機器の治験は、製品の信頼性を証明し、承認への道を開く重要なプロセスです。

しかし、特にベンチャー企業にとっては「経験不足」「人手不足」「コスト制約」など、数多くの壁が立ちはだかります。それでも、成功している企業には共通点があります。

それは、“リソースの限界を前提に、戦略的に治験を進める考え方”です。

この記事では、医療機器ベンチャーが治験を成功へ導くために押さえておくべき思考法と実践ポイントを解説します。

ベンチャー企業が治験で直面する3つの壁

治験の知識・経験が社内に少ない

多くのベンチャーでは、治験を経験した人材が限られています。
CROやPMDAとのやり取りも初めてというケースが多く、専門用語や手続きの理解に時間を取られがちです。

リソース不足による情報分断

少人数で複数業務を担当するため、治験の進捗や課題がチーム内で共有されにくい。
その結果、重要な判断が遅れ、スケジュールに影響を与えてしまうこともあります。

CRO任せのリスク

CROにすべてを委託してしまうと、本来企業が持つべきリスク管理や意思決定の主導権が失われます。
「気づいた時には手遅れ」という事態を避けるためには、企業自身が治験全体を俯瞰する姿勢が欠かせません。

成功しているベンチャーの共通点は「主体性」

医療機器の治験を成功させる企業は、共通して“自社主導で治験を進める意識”を持っています。

CROを管理するのではなく、「一緒に動かす」という発想。

社内の少人数チームでも、正しい情報共有と判断体制を整えれば、十分に高品質な治験を実現できます。

主体的な企業の特徴

  • 治験の目的・ゴールを明確にしている
  • CROとのミーティング内容を自社で整理・管理している
  • リスク発生時に、意思決定の判断軸を社内で持っている

このように、外部依存ではなく「企業としての判断」を中心に据えることで、限られたリソースでも治験を安定して進められるのです。

治験を成功に導く3つの実践ポイント

“見える化”で全体像を把握する

治験スケジュール・課題・リスクを一覧できる仕組みを整えましょう。

スプレッドシートや共有ツールでも構いません。

進捗を“見える化”することで、遅れや問題を早期に発見できます。

CROとの情報共有をルール化する

週1回の進捗ミーティングや、議事録の共有ルールを明確にします。

CROからの報告を受け取るだけでなく、「次のアクションを決める場」として活用するのがポイントです。

外部専門家を“パートナー”として活用する

人材不足を補うために、治験支援の専門家を伴走者として迎えるのも効果的です。

単なる外部委託ではなく、企業の立場を理解して動いてくれる支援者を選ぶことが、結果的にコストと時間の節約につながります。

現場視点を持つ支援が治験を変える

治験の現場では、計画どおりに進まないことが多々あります。

患者スケジュール、医療機関の調整、書類確認の遅延――そのひとつひとつに、現場特有の課題があります。

だからこそ、“現場を理解している人が支援に入る”ことが大きな差を生みます。

経験に基づくリスク管理と的確な助言があれば、初めての治験でも迷わず前進できます。

ユーロドクターコンシェルジュ合同会社では、
大手医療機器メーカーやベンチャー企業での治験経験を活かし、企業側の立場でCROコントロールとリスクマネジメントを支援しています。

まとめ:治験成功の鍵は「考え方」にある

医療機器ベンチャーにとって、治験は企業の成長を左右する重要なステップです。

その成功を決めるのは、資金や規模ではなく――「どう考え、どう動くか」です。

自社が主導し、課題を俯瞰し、現場と向き合う姿勢を持てば、治験は必ず前に進みます。

伴走してくれる専門家と共に、貴社の医療機器が未来の現場で活躍する日を、一歩ずつ近づけていきましょう。