~CRO任せにしない、企業主導の治験準備とは~

はじめに

医療機器メーカーが初めて治験を行う際、

「何から手をつけていいかわからない」
「専門用語が多く不安」という声を多く耳にします。

医薬品と異なり、医療機器の治験には独自の進め方と管理体制が必要です。
この記事では、これから治験を始める企業の方へ向けて、スムーズなスタートのために押さえておくべき基礎知識と準備のポイントをわかりやすく解説します。

1. 医療機器治験の基本構造を理解する

医療機器の治験は、製品の「有効性」と「安全性」を確認するために行う臨床試験です。
主な登場人物は、以下の三者です。

  • 治験依頼者(=医療機器メーカー)
  • CRO(治験業務開発受託機関)
  • 治験実施医療機関

CROに業務を委託するケースが一般的ですが、最終的な責任はメーカー側にあります。

したがって、CROに任せきりにせず、治験の進捗や品質を自ら把握できる体制づくりが欠かせません。

2. 治験開始までに整えておくべき準備

初めての治験では、次の4つの準備ステップを押さえるとスムーズです。

STEP1
治験計画の立案

まず、製品の特性やリスクを踏まえた治験計画を作成します。
CRO任せではなく、自社の開発目的やPMDA(医薬品医療機器総合機構)への説明責任を意識した内容にしましょう。

STEP2
実施体制の構築

社内で治験を担当する責任者・実務担当・調整役を明確にし、情報共有の仕組みを整えます。
小規模な組織でも「誰がCROと連携するか」を決めておくことでトラブルを防げます。

STEP3
CRO・治験実施医療機関の選定

CROの実績や得意分野(医療機器領域、医師とのネットワークなど)を確認し、
“委託する業務範囲”を明確に契約書に落とし込むことが大切です。

STEP4
治験スケジュールの可視化

進捗を社内でも追えるよう、スケジュール表とリスク管理表を作成しておきましょう。
「見える化」することで、万一の遅れにも早期対応が可能になります。

3. よくある課題と対策

初めて治験を行う企業がつまずきやすいのは、次のような点です。

課題対策
CROに情報を任せきりで、全体像が見えない定期ミーティングで報告内容を共有。議事録で意思決定を記録する。
社内担当者が多忙で治験業務に時間を割けない一時的な外部支援を活用し、リスク管理やCROコントロールを補完。
治験書類や報告書の整備が追いつかない治験文書の電磁化を導入し、人的コストを削減する。

これらの課題は、「現場の視点」と「企業の責任意識」を両立させることで解消できます。

4. 企業主導の治験を成功させるポイント

  1. CROに“指示する”ではなく“連携する”姿勢を持つ
    お互いの役割を明確にし、双方向のコミュニケーションを意識します。
  2. リスク管理を早い段階から取り入れる
    問題が起きてから対応するのではなく、発生前に「気づく仕組み」をつくる。
  3. 治験を“業務”ではなく“開発戦略の一部”と捉える
    製品開発全体の中で、治験の目的と価値を明確にしておくことで判断軸がぶれません。

5. まとめ:治験を進めるのは「人と仕組み」

医療機器の治験を初めて進める際は、不安や戸惑いがあるのが当然です。

しかし、正しい準備と現場を理解した支援があれば、着実に進めることができます。

ユーロドクターコンシェルジュ合同会社では、
治験経験豊富な専門家が企業の立場で伴走し、CROコントロールやリスク管理をサポートしています。

初めての治験でも、焦らず一歩ずつ。
貴社のプロジェクトを、確かな支援で成功へ導きます。